従来の軽水炉に対するメリット
MERIT
トリウム溶融塩炉の安全性
われわれは、液体燃料炉として、最終的に「トリウム溶融塩炉」の実現を目指しています。
液体燃料炉「トリウム溶融塩炉」は、従来の主流原子炉である「軽水炉」が持つ安全性に関する問題を原理的に解決します。
暴走の危険がない
従来の原子炉では固体燃料が燃料棒中に密閉されて炉心に固定されているが、トリウム溶融塩炉では約700℃の溶融塩液体燃料が原子炉内を循環している。均一混合でき、核分裂のバランスがギリギリでも稼働するので、核反応が大きく拡大する恐れが無く、「暴走」の危険もない。したがって固形燃料炉の場合に必要な緊急時安全用の制御棒も持つ必要がない。
原子炉被破壊対策
緊急時には燃料を地下のドレインタンクに落として、原子炉内に放射性物質が無い状態にする。そのため、原子炉が破壊されても原子炉から放射性物質が外部に放出される事はない。地下のドレインタンクには減速材である黒鉛が無いのでドレインタンク内の燃料の核反応は止まってしまい燃料の持つ崩壊熱は水槽の水により自然冷却除去され燃料は固化する。
原理的にメルトダウンはしない
溶融塩燃料はもともと液体で使用している。従って、メルトダウンという事故モードは原理的に起こりえない。
原理的に水素爆発しない
溶融塩炉は液体燃料自体が冷却材(熱媒体)を兼ねた水を使わない乾式炉である。水が無いため、過熱による水の蒸発や、燃料容器の過熱による燃料容器のジルコニウムと水の反応による水素の発生と水素爆発ということは原理的に起こりえない。
常圧運転で容器破壊は起きにくい
液体燃料はほぼ常圧(5気圧程度)で循環しており、圧力容器を用いていない。原子炉容器は高い機械的強度も要求されない。よって加圧水型炉のように、圧力破壊(脆性破壊)する危険はない。
溶融塩は空気、水との反応しない
万一、溶融塩燃料が原子炉外に漏れ出しても、空気による自然冷却によりガラス状に固まり、内部に放射性物質を閉じ込めて外に出さない。
トリウム溶融塩炉のコスト
「トリウム熔融塩炉」の発電コストについては、多くの試算がされていますが、平均3円/kWh程度で、風力、太陽光等の再生可能エネルギーに比べてはるかに低コストです。構造がシンプルで、安全性が高いため安全対策の費用が少なくて済むのが低コストの理由です。それと燃料のコストも安い。
トリウム 熔融塩炉 | 軽水炉 | 石炭 | 天然ガス | 風力 | 太陽光 | バイオマス | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
設備償却費 | 2.0 | 6.0 | 2.8 | 1.0 | 17.4 | 22.5 | 4.0 |
燃料費 | 0.004 | 3.0 | 1.8 | 2.8 | 0 | 0 | 4.7 |
運転費 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
合計 | 3.0 | 10.0 | 5.6 | 4.8 | 18.4 | 23.5 | 9.7 |
トリウム熔融塩炉の目標とする発電コストは、他のあらゆるエネルギーコストを下回ります。
21世紀中に、再生可能エネルギーがトリウム熔融塩炉の発電コストに達することは考えにくいと思われます。
トリウム溶融塩炉と軽水炉の比較
トリウム溶融塩炉 | 軽水炉 | |
---|---|---|
核燃料 | トリウム 溶融塩液体燃料(燃料棒無し) | ウラン 個体燃料(燃料棒有り) |
減速材 | 黒鉛 | 水 |
冷却材 | 常圧の700度高温溶融塩液体燃料が炉内を循環 (高圧容器不要) | 水 (高圧容器必要) |
標準出力 | 20万kW(小型炉) | 100万kW(大型炉) |
発電コスト | 3~4円/kWh 目標3円/kWh | 15円/kWh (新設の場合) |
核拡散 | プルトニウムを生成しない (核武装の恐れ無し) | プルトニウムを生成する (核武装の恐れ有り) |
建設費用の比較 | 1 | 10 |